当院がめざすもの
私達は“豊かな最晩年”の実現をめざしています。
豊かな最晩年のための4つの柱
高齢者にふさわしい医療
人間の体は75歳を過ぎるころから大きく変化し、心身の機能をはじめ正常値や薬への反応も成人とは異なります。医療行為は受ける側にとっては不快で苦痛を伴うものですが、問題は高齢者にとってはこれを我慢しても、その先に必ずしも良き時間が待っているとは限らないことです。私達はこれを前提として高齢患者様への医療を提供しています。まずは患者様に残された能力を充分に見極めたうえで不要なチューブや、検査・投薬をなるべく少なくしたいと考えています。すなわち苦痛に満ちた惨めな長生きよりも、豊かな一日を実現する医療を目指しています。
看護、介護、医療の一体的提供
多くの場合、一般的な介護施設では充分な看護や医療を提供できません。一方、医療機関では生活や介護の仕組みが充分ではありません。そのため、介護は介護施設で受け、ひとたび看護や医療が必要になると医療機関との間を行ったり来たりしなければならない現実があります。しかし、実際に最晩年を過ごす高齢者には看護、介護、医療の全てが同時に必要になります。そこで、私達は患者様にとって必要なことを中心に据え、まずは潤いある生活の場をご用意し、その中で生活を支える看護、介護、医療の三つが一体的に提供される仕組みを目指しています。すなわち本当の意味での「終の棲家」を実現したいと考えています。
尊厳が守られる毎日
最晩年を迎えるにあたっての最大の不安は、自分のそれまでの人生経験や個性を尊重されることなく、単なる”お年寄り”として扱われることではないでしょうか。私達はこのご不安を受け止め、患者様ご本人にとってその方らしい尊厳ある最晩年の日々を提供したいと考えています。そのためには、まずご本人にとって嫌なことを強いられない、大切にされている、必要とされていると感じられる毎日を目指しています。また、患者様お一人お一人の個性に合わせた個別対応を心掛けています。
自分の親を安心して預けられる場所
私達の開院時からの目標は「自分の親を安心して預けられる施設」をつくることです。患者様にとって居心地のよい場所であると同時にご家族様にとっても安心できる場所でありたいと考えています。お身内の介護を抱えるご家族にとって一番の安心は、まずは退院の期限なく最後まで託せることではないでしょうか。私達は経済的なご負担以外はご家族の手を煩わせることなく、患者様の最晩年の生活全てのお世話を最後までお任せいただけることを目指しています。さらに介護にまつわる精神的、肉体的ご負担をお引き受けすることによりご家族間の絆を取り戻し、患者様とご家族様の良き時間をおつくりしたいと考えています。