理事長コラム『不思議そうな顔』
2018年11月6日(火)
先日、ある一般企業から数名の方が見学にいらした。
病棟など院内各所の見学を終え、
当院の患者様の9割が認知症を患っていると話したところ
みなさん一様に不思議そうな顔をした。
院内で多くの患者様を見かけたが、どの患者様も
認知症を患っているようには見えなかった、と。
その方によれば、これまで認知症のイメージといえば、
不安そうな顔で歩き回っている。風貌は着ているものがなんとなく汚れている、
寝癖や着崩れがある。
そういうものだと考えていたとのこと。
残念ながら現時点で認知症への特効薬は存在しない。
となると私たちができることは何だろう。
認知症への理解を深めることから始め、
消えゆく記憶の中で生まれる不安を少しでも和らげる受け答えや、
安心していただける雰囲気づくりをする。
きちんと髪をとかし、お化粧を手伝い、似合った服を着ていただく。
これまで続けてきたそのような取り組みを
更にレベルアップしたいという想いで、
ここ数年、あらためて認知症への対応力向上のための職員研修に力を入れている。
現場職員の細やかな対応の積み重ねが、
先だっての見学者の「不思議そうな顔」につながったのならとても嬉しい。