2012年2月1日 『100歳』
学生時代、100歳の患者様と話していてこんなことがあった。
年末の紅白歌合戦について話していた時のことである。
「お好きな歌手はいらっしゃるんですか?」と尋ねると
「最近はあんまりねぇ」とつれない。
「やっぱり北島三郎さんとか?」と当時の自分なりに精いっぱい年配向けの名前を出してみるとその患者様は答えた。
「若いかたは分からなくてねぇ…。」
私は一瞬言葉を失った。しかし、良く考えてみればそうである。調べたところ北島三郎さんの初ヒットは1963年。その方にとって60歳も過ぎた頃に27歳で出てきた北島三郎さんは紛れもなく「若いかた」なのである。
現在、当院の100歳以上の患者様は青梅、よみうりを合わせて25名おり、私達のような更に「若いかた」に毎日の生活をゆだねている。
私達との大きな「ジェネレーションギャップ」のなかで過ごさねばならない100歳以上の方々はどんな気持ちで毎日を過ごしていらっしゃるのだろうか。
いや、当院の貫録ある患者様達を見ていると100年の人生経験はそんなことには動じないのかもしれない。