理事長コラム『強力な援軍』
2019年11月11日(月)
病院を舞台にした、いわゆる医療モノはテレビや映画、小説にまんがと、物語として根強い人気がある。
医療の世界は多くの人にとって身近でありながら非日常でもあり、創作に打ってつけの題材なのだろう。
私も興味をもって見るのだが、実際の医療現場から見ると、あまりに現実離れしているものもある。すると、途中から「誤った印象が広まるのでは」とモヤモヤし始め、エンターテイメントとして楽しめなくなってしまうのは仕事柄か。
青梅に勤務する渡辺由貴子医師が作家・南杏子として活躍されていることはご存知の方もいらっしゃると思うが、その持ち味はエンターテインメント性と良心のバランスにある、と感じている。読み手を創作の世界に引き込みつつも、医療の現場を熟知しているからこそのリアリティが裏づけにあるから作品が品性を失わない。
医療や介護に関わる立場からすると自分たちの仕事が、分かりやすく、しかも誤解なく世の中に伝わるということはとても嬉しいことである。当院にとどまらず医療界にとっての強力な援軍、と言ったら言い過ぎだろうか。
さて、今回の慶友たよりでは南先生に読み切り小説を書いていただいた。あくまでもフィクションであるが、医師としての実体験を背景にした南先生らしい心温まる作品をお楽しみいただきたい。