理事長コラム『お正月の思い出』
2018年1月6日(土)
誰しも子供時代のお正月の思い出があると思う。
我が家の大晦日は小石川にある祖母の家に行くのが恒例だった。
いつも昼過ぎには着くのだが、父は挨拶もそこそこに
数百枚はある書き残しの年賀状の束を抱えて二階の部屋にこもり、
亡くなった祖父の机で書き上げると郵便局の最終受付に駆け込んでいた。
一方、私は書道の達人であった祖母から
「宿題の書初めを持っておいで」と言われていた。
悪筆の私は祖母の前で習字をするのが嫌でしかたがなかった。
そんな私を見抜いてか、筆を持ち、
極限まで脱力した私の手を祖母が力強く上から握り、書く、というやり方で
宿題を手伝ってくれた。
かくして出来上がったほぼ祖母作の見事な書初めは、
冬休み明けの教室に貼られるのだが、なんともバツが悪かった。
そんなことを思い出すと祖母の手と柔和な顔が浮かび、温かな気持ちになる。
当院には毎年お正月に千名を超えるご家族様がお見舞いに訪れる。
最近はお孫様、ひ孫様まで四世代が集ってのお見舞いも多く、
持ち込みのおせちを囲んだ楽しげな光景が広がる。
お見舞いに来てくれる大勢の子供たちにとって、
当院でのお正月が温かな思い出になりますように。