理事長コラム『一緒の喜び』
2017年11月1日(水)
和菓子の老舗、とらやさんから、新しい発想の羊羹が発売された。
材料と風味はとらやの羊羹そのままに、
硬さは27分の1という商品で、
開発にあたっては当グループも少しお手伝いをさせていただいた。
季節のイベントなどでは、
とらやのお菓子をお出しする機会があるが
そんな折、患者様とご家族様からは、
過日ご一家でお祝いしたハレの日の思い出話が自然に溢れ出す。
日本人にとってそんな特別なお菓子を作り続けているとらやさんに
「最晩年に寄り添える羊羹」はできないものかとお願いしたところ、
3年の歳月をかけ『やわらか羊羹「ゆるるか」御膳』を開発してくださった。
「高齢者のための商品」ではなく、
「ご高齢になってもご家族と一緒に楽しめる商品」との
とらやさんの想いを伺い、深く感銘を受けた。
一緒に見る、食べる、感じるなど、
大切なひとと「一緒に」楽しむ時間は人生の喜びの一つだろう。
しかし、年をとったり、体が不自由になったりすると、
それまでは当たり前だった「一緒に」が少なくなってしまう。
新しい羊羹にはその喜びを取り戻す力があるように思う。
お子様やお孫様、ひ孫様まで
「一緒に」とらやの羊羹を楽しむひとときは、
まさに私たちが目指してきた
「豊かな最晩年」の1シーンとなるに違いない。