『先生の教え』
2017年2月13日
当院に入院してきた点滴や胃ろう、経管栄養の患者様の中には
水分過剰の状態にある方も少なくない。
水分過剰になると心臓への負担は増え、むくみの原因にもなる。
さらに皮膚はもろくなり、分泌物が多くなる。
点滴の量を減らしたとたんに
これまで患者様を苦しめていた痰が
うそのように少なくなることもしばしば経験する。
私たちがお世話をしている85歳を越える超高齢者の特徴は、
個人差が大きいこと、
水分不足と過剰の間の「ちょうど良い」範囲が狭いことである。
一般的には成人が一日に必要とする水分量は最低1500mlと言われているが、
実際の高齢者には500mlで充分な場合もあり、
それぞれの患者様をよく診て、皮膚の状態や痰の量、活気など、
細かな全身の変化から推し測るしかない。
そしてこれこそが高齢者ケアのプロの技である。
この未知の領域においては
目の前の患者様こそが私たちにとっての先生である。
これまで当院に身を任せてくださった
多くの先生からいただいた教えを
世の中に伝えていくことも
私たちの大切な役割である。